造影剤を安定して注入できる自動注入器“インジェクター”について

画像診断(CT、MRI、アンギオ)で行われる造影検査は、画像上の病変部にコントラストをつけて診断しやすくするため、血管内へ造影剤を注入します。

怖い印象があるかもしれないですが、安全のために、慎重に造影剤を注入します。

造影剤を安定して注入してくれるインジェクターとは。

インジェクター(Injector)とは自動で造影剤注入を行なう装置です。

インジェクターに注入したい造影剤をセットし、血管からのルートを接続、ボタンを押せば、注入がスタートします。

注入中は注入圧に異常がないかを監視しながら、注入速度を一定に保ったままで造影剤を注入することができます。

怖い印象があるかもしれませんが、CTやアンギオなどでは造影剤を急速注入することで、より病変部を識別しやすくなります。

急速注入では、身体がカッと熱くなりますが、副作用ではありません。

造影剤を使う目的

放射線科領域の画像診断装置(CT、MRI、アンギオ)では、ただ単に撮影を行っても、正常組織と病変部位のコントラストが少ないこともあり、判別に悩む場合があります。

そのときに役立つのが造影剤です。

造影剤には、ヨード造影剤(CT、アンギオで使用)やガドリニウム造影剤(MRIで使用)などがあります。

造影剤を血管内(動脈、静脈)に注入することで診断精度を高めます。

これらの薬剤を体内に注入する際に造影剤自動注入装置(インジェクター)を使用しています。

インジェクターの重要性

近年のCTやMRIといった画像診断装置は一昔前と比べると撮影時間が短くなっています。

そのため造影剤を注入してから動脈に流れているタイミングや身体全体に広がっているタイミングなど、いろいろなタイミングを狙って撮影することが可能となっています。

造影時にタイミングよく撮影することによって、診断に効果的な画像を得ることができます。

血管の三次元構築、術前のプランニング画像など、より治療に直結した画像描出も造影剤をタイミングよく撮影することによるおかげです。

ただし、漠然と造影剤を注入するだけでは、うまくタイミングを合わせることができません。

最適な造影効果を得るためには造影剤自動注入器に設定した注入条件(注入速度、造影剤量、注入圧)で正確に安定して造影剤を体内へ注入することが求められます。

造影剤の注入の仕方にも多段階注入、可変注入、生食フラッシュなど様々な注入方法があり、検査に最適な造影剤の注入を行なう必要があります。

注入量の規定に関しても、腎性全身性繊維症(NSF)、腎機能低下患者さん等の副作用を考慮し、エビデンスに基づいた造影剤の量を設定する必要があります。

漠然と大量投与すると、造影剤による副作用で、身体に悪影響が出てきてしまいますので、撮影時には造影剤の使用量にも注意を払っています。

最近では、患者の血液量に準じて造影剤量を決定する体重プロトコル、体表面積を考慮した決定方法なども使用されており、インジェクターでは簡便に計算できるプロトコルを搭載しています。

アンギオ装置のインジェクターに関しては、マイクロカテーテルの高耐圧注入でも正確に注入できるような性能が必須であり、ConeBeam-CT、IVR-CTでの低コントラスト領域の撮影も多く、希釈造影が可能なシステムが望まれています。

インジェクターの安全性

CT室用インジェクターでは、急速注入の安全を確保するため、血管外へ造影剤の漏出を検出する機能を備えたものもあります。

MRI検査室には磁性体(磁石で引っ張られるもの)の持ち込みが禁止のため、MRI用のインジェクターも非磁性体(磁石に引っ張られないもの)の素材でないといけません。

血管ルートもCTに比べるとMRIでは長時間確保しなければならないため、チューブ内で血液が固まることのないように生理食塩水をドリップできるような機能も搭載しています。

造影剤自動注入器は、動脈、静脈に直接薬剤を注入する機器であるため、安全に正確に注入できる性能が望まれています。

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