【MRIとCTの違い】頭部を調べるのはCTとMRIどっちが向いているの?

頭の検査をする場合、CTもMRIも両方とも撮ることがあります。CTをとったのならMRIは必要ないのでは?と思ってしまいます。MRIもCTもどちらにも共通して頭の断面像が得られることにかわりはありませんが、得意・不得意があるのです。今回は、頭部領域においてMRIとCT、どちらが向いているのかを簡単に解説します。

CTとMRIの特徴

まずは、CTとMRIを比較してそれぞれの特徴です。

CTは、

  • 放射線を利用している
  • 撮影時間がMRIよりも短い
  • 骨の撮影にむいている
  • 細かな構造が見える
  • 造影剤を使わなければ血管をみることが難しい
  • 造影剤を使えば、細かな血管まで見える
  • 頭部の出血がわかりやすい
  • 予約外でも比較的すぐに撮影ができる1(施設にもよります)

MRIは、

  • 磁石の力と電磁波を利用した検査
  • CTに比べると検査時間が長い
  • 電波の当て方で多彩な画像が得られる
  • 急性期の脳梗塞がわかりやすい
  • 造影剤を使わなくても血管を見ることができる
  • 予約が必要なこともあり、緊急性がないとすぐに撮ってくれないこともある(施設にもよります)

(打撲など)頭部の外傷時にはCTが向いている

CTは出血やがわかりやすく、骨の撮影が得意です。外傷で発生した、外傷性の出血がないか、頭蓋骨の骨折がないかどうかを診るためにはCTが向いていると言えます。さらに、短時間で撮影できるので、交通事故などで意識がない人の撮影にも迅速に対応ができるのが特徴です。

一方、MRIで脳の出血を診ようと思うと、判断に迷う場合があります。熟練の医師であれば、MRIの画像を見るだけで出血だと判断することができますが、出血の特徴を理解していなければMRIだけで出血を判断するのは難しいかもしれません。

なぜ、MRIは出血の判断が難しいのか

一括りに出血といっても出血を起こした時間からどれだけ時間が過ぎているかによって、モノが全然違うのです。血液の中には、ヘモグロビンが含まれています。ヘモグロビンは酸素を含んでいたりいなかったり、赤血球の中にあるのか外にあるのか、時間と共に変化をします。MRIでは、このヘモグロビンの変化によって画像に影響が出てくるのです。つまり、出血の写り方が時間によって変わってしまうためにMRIでは判断に迷ってしまうということです。

一方、CTでは出血の判断は比較的容易で、色が白ければ発症してすぐ、時間が経過していくと黒っぽくなっていくというシンプルな経過をたどるので、出血の評価が比較的しやすくなります。

●頭痛のときはCT、MRI共に同じくらい向いている

脳出血や脳の血管にコブができる脳動脈瘤、脳の血管が割れてしまう脳動脈解離、副鼻腔炎など、頭痛を起こす原因はさまざまです。一括りに、頭痛といっても画像上で確認できないような頭痛もあります。例えば、偏頭痛では画像上では見ることができません。CTとMRIの両方を撮ってみて、頭痛を起こしそうなものがないことを確認することで診断できる頭痛もあるのです。

●脳血管を見るときはMRIもCTも向いている

血管を見ようとおもうとCTでは造影剤をつかわなければ診断することが難しく、反対にMRIでは造影剤を使わなくとも主要な血管を見ることができます。造影剤を使わない検査であれば、CTはMRIよりも簡単に撮影が済むのですが、造影剤を使うとなれば患者さんには造影剤による副作用のリスクが出てきます。そのため、簡易に血管を見る場合にはCT検査ではなく、MRI検査を選択することが多くなります。

特に、脳ドックなど無症候(症状が出ていないこと)の脳動脈瘤の有無を確かめるための検査においては、造影剤を使わずに撮影ができるMRIが利用されています。

一方、CTは造影剤を使うことが副作用のリスクにはなりますが、造影剤を使うことでMRIでは見えないような細かな血管や蛇行した血管を写すことが可能です。そのため、同じ脳動脈瘤の検査でも、脳動脈瘤が破裂して出血を起こしているような場合には、出血を起こしている原因の血管を細かく診るために造影剤を使って頭部のCT検査を行うこともあります。

●急性期脳梗塞の診断にはMRIが向いているがCTでもわかるものはある

急性期の脳梗塞は、MRIが診断しやすいと考えます。急性期だとCT画像上、脳に変化がでていないことも多く、CTを撮っても診断できないことも多くあります。

発症から1時間以内の脳梗塞はCTの方がわかることがある

MRIで写る急性期の脳梗塞は1時間以上が過ぎてからでないと写らないと言われています。一方、CTで急性期の脳梗塞は診断できないことが多かったのですが、1時間以内の脳梗塞だとCTでなければ診断できないこともあります。急性期の脳梗塞の検査の場合、CTではほとんど徴候が出ておらず、判断に迷うことも多いのですが、脳梗塞を疑わせる微妙なサインが出ていることもあるからです。そのサインが出ていれば、急性期の脳梗塞の場合でもCT検査で診断ができるということです。ちなみに、回復期や慢性期の脳梗塞になるとCTでもMRIでもわかるように脳の状態が変化しています。

まとめ

頭部においてもCTが優れているかMRIが優れているかは、はっきりとした答えが出ません。目的によって適切な検査を選択しているためです。MRI検査を勧められたけど、MRI装置の狭さが苦手で、どうしてもMRIを受けたくない人も中にはいますし、反対にCTを拒む人もいます。そういった方には、MRIやCTで代用して診断することもありますが、中にはどうしても代用がきかない検査もあります。検査を受けたくない場合や、どうして検査を受ける必要があるのかを疑問に思った場合は、医師に気軽に相談してみても良いと思います。