【CTとMRIの違い】おなかの検査はCTとMRIどっちが向いているの?

おなかが痛い、便が出ないなど、おなかの調子が悪いとお腹を検査することになるが、腹部の検査にはCTとMRI、どっちが向いているのでしょうか。他の検査もいろいろあるけれど、今回はあくまでCTとMRIを比較しました。

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そもそもCTとMRIの違いとは

大きくCT装置とMRI装置の特長を挙げてみます。

CTは、

・放射線を利用している。

・撮影時間がMRIよりも短い。

・骨や空気の撮影に向いている。

・細かな構造が見える。

・造影剤を使うとMRIよりも鮮明に血管を写し出せる。

・一度に広範囲の撮影ができる。

MRIは、

・磁力(磁場)と電磁波を利用している。

・CTに比べると検査時間が長い。

・ペースメーカーなどの体内にある装置があれば受けられない。

・組織分解能が高い(軟部の撮影に向いている)

・造影剤を使わなくても血管がある程度は見える。

・撮影室に金属の持ち込みができない。

・撮影時には大きな音が出る。

・一度に広範囲の撮影ができない。

腸を診るのはMRIよりもCTが向いている

そもそも腸をしっかり診ようと思うと、内視鏡検査などと組み合わせる必要もあると思いますが、MRIとCTではどっちが腸の検査に向いているかということに絞れば、CTでしょう。

腸にはガスが含まれていますよね。ガスには磁場を乱してしまう効果があります。特にガスが動いたときに磁場も不均一になりやすいのです。磁力を利用しているMRIには腸の撮影は苦手です。

さらに腸は蠕動運動といって激しくはないけれど、多少は動いています。より動きを少なくするように薬を使うことも可能ですが、もともと撮影にかける時間が短い方が、動いている場所には強い検査だと言えます。CTは撮影時間が短いことが特徴です。検査の準備などを省いて撮影している時間だけをみるとCTは数秒で終わります。腸の動きによる影響が全くないと言えばウソですが、ほとんど影響がないといっても良いでしょう。

最近は大腸CTというようなCTで大腸を撮影できる技術も開発されています。ただし、大腸CTでなければ、CTは大腸がんやポリープなどの病変をみつけることは困難でしょう。(100%無理ではないですが、単純CTで見つけられるような大腸がんであれば、粗大なものである印象があります。)しかし、CTは憩室炎や虫垂炎は診断には向いています。腸が拡張する腸閉塞(イレウス)や虚血性腸炎などの診断にもCTは有用です。一方、MRIは腸の検査にはあまり向きません。腸疾患があってもMRI検査をすることは稀でしょう。

胆のうやすい臓を診るのはMRI・CT共に向いている。

胆のうに詰まった胆石を診断しようと思うと、CTもMRIも有用です。どちらが優れているかと言えば、どちらも良いところがあるので優劣はつけがたくなります。(もちろんCTやMRI以外にもエコー検査なども大事です。)

どちらかというとCTの方が、「撮影時間が短い」、「予約がなくても緊急で受けやすい」という特徴があります。それらの理由から、迅速に対応ができる、患者が楽に受けられるので、胆石の診断にはCTが初めに選ばれることが多いでしょう。

ただし、胆石にはCTで写らないような胆石も中にはあります。CTはX線の吸収差を利用して画像化しています。胆のう内の胆汁とコレステロール性のような胆石であれば、X線の吸収差がなく、まるで胆石がないかのように胆のうが写し出されてしまうのです。

MRIには、水を強調するような撮影方法もあります。水を強調することで、胆汁内に石のような別の成分があれば、影絵のように石があるところだけが浮き上がります。CTで見えないような胆石まで診断できるので、より精確な情報が得られると言えます。

骨盤内臓器(前立腺)、婦人科疾患(卵巣や子宮)を診るのはMRIが向いている。

上記のMRIの特徴の欄に、組織分解能が高い(軟部の撮影に向いている)と記述しました。これは、どういうことかというと、CTでは、軟部組織と軟部組織が引っ付いている場合、X線の吸収差がなくなってしまい、全くコントラストがつかず見えません。

しかしMRIには組織の水信号や脂肪信号などの生体のさまざまな信号から画像化していますので、CTで苦手とするような軟部組織の描出に向いています。

もちろんCTでもX線の吸収差があるような軟部組織であれば見えてきます。しかし、前立腺や子宮、卵巣といった骨盤内の臓器はコントラストがつきづらくCTでは見えにくくなります。一方、MRIはそういった部分の撮影に向いており、子宮癌や卵巣癌、卵巣嚢腫、前立腺癌などの存在を調べるにはMRIが向いているでしょう。

全身検査にはMRIよりもCTが向いている。

子宮癌などはMRIが向いていると説明しましたが、子宮癌やその他の癌が見つかった場合、全身に転移している可能性もあります。全身に転移していないかどうかを調べる転移検索では、一度に広範囲の撮影が可能なCTが有用だと言えます。

まとめ

腹部の検査といってもさまざまです。おなかの検査にはどちらが向いているかどうかはその人が疑われる疾患によりますので、一概にCTとMRIのどっちが向いているとは言えません。CT、MRI共にメリットデメリットがあります。CTは多少の被ばくがありますし、MRIは大きな音が出て時間もかかります。どちらの検査も、受けることに抵抗がある人は少なくありません。CTやMRIの検査を受けることに抵抗があり、受けたくないのであれば、他に診断する方法を医師が提案してくれるかもしれませんので、気軽に相談してみることも良いでしょう。