見逃していない?レビ―小体型認知症の症状と見逃しやすい理由

認知症といわれると記憶障害を思う浮かべるかもしれませんが、レビ―小体型認知症には、多彩な症状があります。

レビ―小体型認知症に代表される症状には以下のものがあります

  • 幻視・見間違い・妄想
  • 筋肉のこわばりや歩きづらさ
  • うつ状態が続く
  • 睡眠中に大声を出す
  • 自律神経の乱れからなんとなく不調が続く

などです。

しかし、それぞれの症状には、見逃してしまいやすいポイントがあり、認知症が悪化してから発覚することも多くあります。初期の段階で、レビ―小体型認知症を見逃さないためにも見逃されるポイントを知っておきましょう。

レビー小体型認知症を見逃がす理由

とてもしっかりしているときもあり、年齢のせいと納得してしまう

レビ―小体型認知症は、状態が不安定です。話しかけても反応が鈍く、「これはおかしい」と思って心配していると、次の日にはしっかり受け答えをしているので安心してしまいます。レビ―小体型認知症では、こうした繰り返しがよくみられますが、放っておくと認知症が悪化してしまいます

認知症は一般に、記憶力や理解力、判断力など、脳の認知機能が低下し、徐々に進んでいきます。しかし、レビ―小体型認知症の場合には、ムラ大きく、直線的な変化というより、波のような変化が起きやすくなります。これは、「認知の変動」と呼ばれ、レビ―小体型認知症の特徴の一つです。脳の脳幹網様体という、意識レベルを一定に保つ働きのある部位の障害が関係していると考えられている。

明らかにこれは変だと思うようなことがないかぎり、「認知症かもしれないから病院にいこう」とはなかなか言い出しにくいもの。

よい状態のときがあると、こんなにしっかりとしているのだから大丈夫と受診を先延ばしにしてしまいがちです。

精神的な疾患と思って抗精神病薬が処方される

レビ―小体型認知症に代表的な症状として、ないものがありありと見える幻視や、見間違い(錯視)による思い込み(誤認)、そこから起きてくる妄想などの症状があります。こういった症状は、認知症だと認識されずに、老年期精神病や、統合失調症など誤診をされることがありますので注意が必要です。

レビ―小体型認知症では、視覚情報を脳で処理できないため、このような症状が現れます。ないものが見える幻視や、目の前のものや模様を別のものに見間違える錯視が起こりがちです。特に寝室のような薄暗い場所は、幻視や錯視が現れやすい場所だと言われます。

そうした特徴をわかっていないと、周囲の人は「突拍子もないことを言い出した」と思ってしまいます。周りの人からの反応から本人の思い込みが強まり、妄想をもつようになることもあります。

ここで、レビ―小体型認知症に気付かれれば良いのですが、老年期精神病や統合失調症などの別の病気と診断されてしまうこともあります。

その場合、抗精神病薬を処方され、服薬によってかえって症状が悪化し、状態がひどくなってしまうこともあります。

●難治性うつ病とされてしまう

レビ―小体型認知症は、認知機能の低下が起きてくるより前に、うつ状態がひどくなることもあります。うつ病は高齢者にも多くみられ、老年期うつ病と診断を受けていることも少なくありません。

老年期うつ病でも認知機能の低下が起こる

高齢者のうつ病は、その半数以上に明らかな認知機能の低下がみられるといわれています。うつ病であれば、抗うつ薬を中心にした適切な治療で、認知機能の回復がみられますが、レビ―小体型認知症ではもちろん改善が見られません。

うつ病と診断され、治療を続けているだけでは、なかなかよくならず、難治性うつ病と診断されることもあります。

抗うつ薬を中心にした薬物療法が始まるもあまり効果が出ず、何種類も薬を服用することになります。そして、うつ状態が改善されないまま、認知機能の低下などもみられるように認知症が進行してしまいます。

うつ病だと診断されていても、抗うつ薬中心の薬物療法で、なかなか改善がみられないようなら、レビ―小体型認知症の可能性もあります。疑わしい場合には、診断の見直しを相談してみましょう。

筋肉がこわばる、歩きにくいのはパーキンソン病だと診断されてしまう

パーキンソン病にみられる運動面での特徴的な症状をまとめて『パーキンソン症状』といいます。

パーキンソン症状は、動かない・動きが鈍い、姿勢バランスを保ちにくく倒れやすい、筋肉が硬くなる、手足が震えるなどの身体の運動に関する症状です。

『パーキンソン症状=パーキンソン病』とは限りません。レビ―小体型認知症でも、パーキンソン症状が現れることがよくあります

実は、レビ―小体型認知症とパーキンソン病の関係は密接で、レビ―小体型認知症とパーキンソン病は、ともにレビ―小体をかかえている仲間のような病気です。そのため、長年、パーキンソン病を患っている人が認知症になることもあれば、レビ―小体型認知症にパーキンソン症状が現れることがあります。

パーキンソン症状を引き起こした場合には、その原因もきちんと調べてもらいましょう。レビ―小体型認知症が隠れている可能性があります。パーキンソン病として対応され、他の症状も現れてきた場合には、診断・治療方針の見直しが必要です。

認知機能の低下、幻視などがみられるようになった場合には、状態の変化を必ず医師につたえましょう。

睡眠中に大声を出して暴れるが、寝ぼけているだけだと思われる

まったく関係のないようなことでいて、実は診断するうえで貴重な情報になるのが、睡眠時の様子です。睡眠中に夢を見て、突然、大声で叫んだり、手足をばたつかせて暴れ出したりすることを「レム睡眠行動障害」といいます。眠りが浅いレム睡眠の間に起こる行動だからです。

レビ―小体認知症の患者さんは、発病の何年も前からレム睡眠行動障害がみられることがあります。現在だけではなく、10~20年前にさかのぼって思い出してみましょう。

睡眠のリズム

睡眠中、眠りの深さは波のように変化しています。浅い眠りをレム睡眠、深い眠りをノンレム睡眠といいます。

レム睡眠行動障害は、レビ―小体型認知症の前ぶれである可能性があります。

ただ、レム睡眠行動障害があれば、必ずレビ―小体型認知症になるわけではありません。ほかに気になる症状がなければ、あまり心配することはないでしょう。

ただし、ほかに気になる症状があらわれるようになったら、必ず「睡眠時の異常言動がみられる(みられた)」ことも医師に伝えましょう。そうすることで見逃されにくくなります。

軽い不調が続くが見過ごされてしまう

レビ―小体型認知症では、末梢の自律神経症状が現れ、不調を感じられるようになります。自律神経を構成する交感神経と副交感神経の働き方のバランスが悪くなると、さまざまな不調が生じやすくなります。

自律神経の働きの乱れは、レビ―小体型認知症に限らず日常的によくあることです。「よくあることだから」と思い込むことで、本当の原因を発見するきっかけを逃すことにもつながります。関係がなさそう、年齢的な問題だろうと決めつけないように注意しましょう。不調だけではなく、幻視やパーキンソン症状もあるようなら専門医に相談した方がよいでしょう。

また、レビ―小体型認知症は薬に対して敏感に反応しやすいので、安易に市販薬の薬を使用しないようにも注意が必要です。

不適切な対応で症状が悪化してしまう

年をとればだれでもどこかしらの不具合がでて、若いころと同じようにはいかないものです。しかし、年齢のせいにしてしまうことで、放置されたり見逃されてしまうことが多いのがレビ―小体型認知症です。

気になる症状があるのにそのまま放置されてしまったり、見逃してしまうと、対応が難しくなります。認知機能の低下で、さらに症状が複雑化し、対応に苦しむことになります。

誤診され、違う病気と思われると、不適切な治療を続けていると状態が悪化することもあります。

正しい診断と適切な治療を受ける

病気のことを知り、適切に対応していくことで多くの症状は改善し、よい状態の維持ができます。認知機能の低下がみられても、早期の治療でよい状態を長く保つことができます。

この記事を読んで、疑わしいと思った場合は、専門の医療機関へ相談してみるとよいでしょう。 He,An.unz