認知症を正しく診断するためのCT検査の必要性

CT(コンピュータ断層装置)検査は、X線検査の一つで、現在の医療では欠かせない役割を担っています。CT検査は、全身の検査が可能で、がんや炎症など様々な疾患を写すことができる検査です。認知症の検査においても、CT検査は大変役割が大きいと言えます。

この記事では、認知症の検査においてCT検査の役割を解説します。

正しい診断が適切な治療には不可欠

どんな病気にも言えることですが、正しい診断があってこそ、効果的な治療を行うことが可能です。認知症には、脳の変性が原因で起こるアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症のほかに、血管の障害で起こる脳血管性認知症、髄液の循環障害で起こる正常圧水頭症、血の塊(血種)によって脳を圧迫する慢性硬膜下血腫など、他にも認知症を引き起こす原因には、さまざまな種類があります。

これらの認知症は、タイプによって治療法は大きく変わります。正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などは、もともとの障害や病気を治療すれば治ったり症状が軽くなったりします。これらのタイプの認知症は外科的な治療で治るので、認知症の中でも治しやすい認知症だと言われます。

一方、脳の変性で起こるアルツハイマー型認知症などの認知症は、薬物療法や認知症ケアを行います。

認知症の種類によって治療方法は異なるため、有効な治療を行うためには、まず正しい診断が不可欠です。

CTでは脳の萎縮など形の異状、脳梗塞の跡、出血や腫瘍がわかる

CT(コンピュータ断層装置)検査は、X線を使い、脳を輪切りにした画像(脳の断面像)が得られます。この画像からわかるのは、脳の各部分の形がわかりやすく、その他、血管のつまりや出血の有無、腫瘍の有無などです。つまりアルツハイマー型認知症なのか、脳血管性認知症なのか、それとも正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など他の病気なのかがわかります。

海馬が萎縮していればアルツハイマー型認知症を疑う

萎縮とは何?

萎縮というのは、体積が小さくなってしまうことです。海馬は記憶に関する重要な部位です。萎縮してしまうと、ついさっきの出来事も忘れてしまい、やがて過去の経験も思い出せなくなってしまいます。ただし、海馬の萎縮は必要条件ではなく、海馬の萎縮の少ないアルツハイマー型認知症もあります。症状と神経学的検査を基本に診断することが大切です。

認知症の検査の場合でも、脳梗塞の跡や脳出血、脳腫瘍の有無を確認することが大切です。脳梗塞の跡や出血による血種(血のかたまり)、脳腫瘍が脳を圧迫して認知症の症状を出現させている場合もあります。CT検査は、認知症検査において重要な検査であると言えます。

認知症の診断には、まずは本人や家族の話が大切

本人や家族の話は、診断の重要な手がかりとなります。認知症はタイプによって特徴的な症状があるので、よく話をきくとだいたい見当がつきます。そのあと、手指の動きや歩き方のチェック、認知機能を調べるテスト、CTやMRI、RIなどの画像検査を行い、最終的な診断を下します。

画像診断ばかりを信用しすぎてはいけない

頭のCTやMRIは、検査装置が普及しており、近年は認知症の検査と言えばごく一般的な検査となっています。しかし、画像検査だけでは認知症は正しく診断することができません。例えば、脳に萎縮があったとしてアルツハイマー型認知症と診断されることも多いですが、実はレビー小体型認知症が合併し、さまざまな症状を引き起こしていることもあります。もちろん診断に大きく貢献をしてくれるので、医師に症状をしっかりと伝えた上で、MRIやRIといった検査も受けることが大切です。