乳がんは性質によって分類されます。
サブタイプ分類が違えば治療効果も異なるため、乳がんのサブタイプ分類を調べることで治療方針が決まります。
また、サブタイプ分類によって治療後の再発リスクなどが変わります。
サブタイプ分類とは
もともとは乳がん細胞の遺伝子の発現状況によってつくられた分類です。
簡易的にホルモン受容体、HER2タンパク、Ki-67という物質の発現状況によって、乳がんでは5つのサブタイプに分類されます。
乳がんのサブタイプ分類は、増殖を促す物質の有無や、増殖能力の強さなど、がん細胞がもつ性質によって分類されます。
基本的には、ホルモン受容体、HER2タンパクという物質を調べることで分類され、薬を効果的に使ったり予後を予測したりするのに役立てられています。
ホルモン受容体って?
ホルモンに反応してがん細胞を増殖するのがホルモン受容体です。
おもに乳がんのがん細胞の核にあらわれ、その数が多いと陽性になります。
乳がんでは女性ホルモンに反応する、「エストロゲン受容体(ER)」と「プロゲステロン受容体(PgR)」がありますが、最近ではERのみで陽性・陰性を判断します。乳がんの70~80パーセントがこのタイプの乳がんだと言われます。
HER2タンパクって?
乳がんのがん細胞の表面に発現するタンパク質の一種で、HER2タンパクが多いと、がん細胞の増殖を強く促すとされます。
多いほど手術後の再発リスクが高くなると考えられますが、HER2をねらって作用する薬が開発され、効果をあげています。
Ki-67って?
乳がんのがん細胞自体が、増殖する能力をどれくらいもっているかをあらわすものです。
数値が高ければ増殖するスピードが速く、悪性度も高いと考えられます。
抗がん剤による治療が必要とされています。
5つのサブタイプ分類について
ルミナルAタイプ
ホルモン受容体陽性、HER2陰性で、Ki-67が低いタイプ。
日本人の乳がんの約60%がこのタイプです。予後がいちばん良いとされます。
ルミナルBタイプ(HER2陰性)
ホルモン受容体が陽性、HER2が陰性でKi-67が高いタイプです。
ルミナルHER2タイプ
ホルモン受容体もHER2も陽性のタイプです。全体の10%がこのタイプ。
HER2エンリッチドタイプ
ホルモン受容体陰性、HER2陽性のタイプです。全体の10%。
トリプルネガティブタイプ
ホルモン受容体もHER2も陰性のタイプです。
2つあるホルモン受容体、それにHER2の3つともが陰性なので、トリプルネガティブといわれます。
トリプルネガティブタイプの乳がんでは、標的となるホルモン受容体とHER2タンパクを持っておらず、ホルモン療法ではなく化学療法(抗がん剤治療)が勧められます。
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